ピンクのまんまる

毛を失った体はみっともなく丸くボールのようだった。

 

毛は気がつかづいた、思ってもみないよりどころであったのだ。

 

剥き出しの肌がひんやりと痛いほどではないが温度を感じている。

 

 

しかしながら、変化は変化だ。

 

ついぞ訪れることのなかった、変化だ。

 

 

冷たい水をひところに飲み込む。

 

 

丸いボールは惨めではあったが、それが日々というものだと心得ている。

 

 

なんにせよ、触れる肌の心地が新鮮だ

 

 

ノットボディポジティブ

私が私をよしとすること

 

こそが現代では困難で、誰もが何かの、誰かの、社会的な承認を求めてしまう。それが悪いとは言わないけれど、なんだか過剰すぎないか。

 

「私」が良ければそれで良いじゃないかと思う。

 

とっても良い活動のはずなのに、ボディポジティブとされる運動が私の目にはなんだか奇妙に見えて、上手く飲み込めないところはそこにある。

 

どうしてそこまで、何かをこき下ろさなきゃお題目を唱えられないんだろうか?

 

私が社会悪を倒した、攻撃したので褒めてください。

これで私も先進的な思想の仲間入りですね。

って感じだ。

 

なんだかすごい面倒臭いし、とてもじゃないけれど、そんな輪の中には入りたくないし、絶対に入れない。

 

イイネが欲しい。承認してください。

あるいは私はここにいますという痛々しい叫びなのかもしれない。

 

だって、私が私をよしとして祝福し、認めるのならば誰かへの攻撃なんていらないし、誰かからの攻撃も屁にもならないはず、とまでは行かなくてもそこまで過剰反応しなくて良いはずだ。だって、私が私に祝福をくれるから。

 

私が私を認めてくれるのなら、大多数の他者は脇役に過ぎない。

 

なんだかモヤモヤすることを過疎化したこの地で王様はロバの耳をしてみる。

きっと異端審問にかけられて焼かれてしまうだろうから。

 

なんだか時代が後退しているようにも感じるけど、

今は「みんなで一丸となって悪と戦う」ことが一周まわってのトレンドになっているから、

きっと私の方が時代遅れなんだろうけど、それでも。

 

どんなに素敵な良い言葉でも「みんな」で「同じお題目」を唱えるなんてまっぴらごめんで反吐が出ちゃうし、「みんな」で「一緒」にというところがどうしても怖い。

 

連帯しようとか、沈黙は賛同だとか、強制参加みたいなものはどうしても耐えられない

羞明

ただ視線を交わすだけで良い

 

ビーツのスープよりも深く分かり合えるから

 

浮かぶサワークリームは淡く溶けて

 

ディルの香りは深く皿に染み込んで

 

ここから先の窓へ手を振りに行こう

 

テーブルに全てを置き去りにして

大きな観覧車だけが回っているさみしいところ

 

他には風の音しかしない

 

目をつむっても

 

くるくる くるくると さみしいところ

 

取り残されることをのぞんだ

 

 

撥水加工のショーツから

 

 

にょっきりと長い脚が伸びている

 

 

海はただ眺めるだけっていったのに

 

 

騙すことも騙されることも

 

 

期待しか含まないように決めたんだ

今朝の夢 2つの緑の墓

団地に住んでいる。

一人で留守番をしている。

団地の窓からふと下の公園を見ると公園の左側にこんもりと人の収まるほどの大きさの緑色の盛り上がりが2つある。

先日まではなかったものだ。

 

お金がなくて、葬式もあげられず、遺体の処理や火葬の手続きもできなかった人が心をこめて作った手作りの墓なのではないかととっさに想像する。

墓らしきものは盛り土の上に綺麗に草がかけられ、墓標らしきものが立てられており、花や衣服などで綺麗に飾り立てられている。

 

あそこに遺体が2つあると想像すると恐ろしいような気持ちになってくる。

いったいいつのまに作られたものなのか。公園のなかでもかなり異様な大きさだ。

 

おびえてふと部屋の中に目を向けると、ダイニングキッチンの引き出しが音もなく開いたり閉まったりしている。ポルターガイスト!!これはいよいよおばけの仕業、やはりあそこには遺体が埋められているのだ!と戦々恐々しているうちに家族が帰ってきた。

 

父、母、姉に窓の外を見てくれと訴える。

姉はすぐさま「いやだぁ」と声を上げる。

団地の公園に無断で墓、ましてや人のものを作るなんて問題だろう。

連絡するのは警察か?病院か?いや、死体があるのだから「死体遺棄所」だろうと「死体安置所」を言い間違いしていることに誰も気づかない。

タウンページをくり、電話をかける。死体安置所にかけたのか、警察にかけたのかは定かではない。応対しているのは私である。

 

そこで目が覚めた。